第九回地域学が行われました
2015/07/22
第9回地域学は、大島商船高等専門学校の田口由香先生を山口県立大学にお招きして「山口の歴史―幕末期長州藩の国際関係―」というテーマで講義をしていただきました。
幕末期の長州藩というと、NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」では、吉田松陰の妹文を主人公として、この時代の世の中の動きや人々について現在放送されています。また、今年の5月には、萩市内にある城下町や松下村塾、幕末期に作られた萩反射炉や恵美須ヶ鼻造船所跡などが世界文化遺産へ登録勧告されたことなどで大変注目されています。田口先生は、この幕末期の中でも長州藩の攘夷決行や下関戦争に焦点をあてて、日本とイギリスに残されている様々な史料を検討しながら詳しく解説してくださいました。
日本では、長州藩は自国のために朝廷や幕府を巻き込んで攘夷を決行し、幕末期における大きな出来事として位置付けられています。一方で、攘夷決行の様子についてイギリスで報道された当時の新聞記事をみると、長州藩が独断で外国に対してささいな抵抗をしているにすぎないように捉えられていることがみえてきました。日本とイギリスでは、長州藩の攘夷の捉え方が異なっていたことが意外な発見でした。
講義の最後に田口先生は、「歴史は、一側面からだけではなく、両側面からみることによって、初めて1つの歴史像が浮かび上がってきます。」と伝えられました。過去の出来事に限らず現在起こっている物事や課題について振り返る上で、私たちは身近なことだけに目を向けがちです。しかし、視野を広げてみること、多様な視点からみて見ることによって、新たな一面に気付くことが分かりました。今回の講義を通じて、視点を変えてみてみることの大切さについて学ぶことができました。
山口東京理科大学の様子
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